映画『雷桜』ファンサイト

    映画『雷桜』ファンサイト

     皆さんは『雷桜』という映画をご存知でしょうか? これは宇江佐真理による同名時代小説を原作としてそれを、映画化した作品で、原作小説自体は平成22年10月の段階で40万分を突破ししています。

     またコミックスの売れ行きも好調で、映画の俳優には今をときめく『岡田将生』、『蒼井優』など若手実力派の他、『小出恵介』『柄本明』『時任三郎』などの豪華キャストを据えています。

     更に、現在ではヒット物少女漫画の映像化なども手がける廣木隆一監督がメガホンをとったことにより、完成度の高い原作が、美しいビジュアルで味わえるようになりました。そんな良い原作と良いスタッフによって作られた作品であることと、その内容がこれまでの時代劇のイメージを根底から覆すような作品であることもあってか、劇場公開当時は非常に話題になった映画です。このサイトはそんな切ない二人の愛情を描いた歴史ドラマ『雷桜』の出演者情報などについて詳しく紹介していくファンサイトになります。

    映画『雷桜』とは?

     映画『雷桜』は、日本版の『ロミオとジュリエット』とも呼ばれている身分違いの色恋を美しく描いた時代物映像作品です。特に日本版のロミオとジュリエットと呼ばれている作品には、『甲賀忍法帖』を元にした映画「SHINOBI」などもありますが、その作品と違ってあまり血生臭く無いため、幅広い層の人が楽しめる作品だと言えます。実際に、当時この作品が公開された時には、丁度シネマコンプレックスが普及したことも後押ししてか、邦画としては異例とも言える金曜日の平成22年10月22日に公開され、初日3日間で興収8614万8460円、動員は6万892二人になり(土日2日間では興収6430万6060円、動員は5万049二人)、さらに映画の動員ランキングで初登場8位になるという快挙とともに、ぴあ映画生活調べの初日満足度ランキングでも五位に入賞するという結果となりました。主演は、岡田将生、蒼井優、そして監督は『僕らは歩く、ただそれだけ』『恋する日曜日』『余命1ヶ月の花嫁』の廣木隆一です。

     「女は、恋さえ知らなかった。男は、愛など信じなかった。美しくも奇妙なその桜が、二人の運命を変えた。」というキャッチコピーの通り、時代劇らしからぬ時代劇で、実際にテレビ特番として『映画「雷桜」から学ぶ恋愛心理学SP』または『映画「雷桜」特番究極の恋物語と言われる4つの理由』という時代劇物では、到底成り立たないような特番を放映しておりました。更に『サムライ・シネマキャンペーン』として、『十三人の刺客』『桜田門外ノ変』『武士の家計簿』『最後の忠臣蔵』などと合わせて、時代劇映画五作共同キャンペーンも行うなどと、新しい客層の獲得と、既存の客層を満足させるという二つの客層が一丸となって楽しめるような試みも行われていました。

    あらすじ

     幼いころに父に捨てられた母の悲しい面影が夢に毎晩でるといった事に苦しんでいた将軍家に生まれた清水斉道(なりみち:岡田将生)は、精神的な自立が出来ないまま、本当のことを質問することが出来る相手がいないという孤独を味わっていました。そんなことからか、寝床番が居眠りをしていた事に対して腹を立て、刀を振り回すなどといった奇矯な振る舞いをし続けるのでした。そんなある時、家臣である瀬戸助次郎(小出恵介)が「自分の村には天狗がいる」と興味深い発言をします。精神的な不安を抱えた主人公も、人里離れた瀬戸村で静養すれば、良くなるだろうという目論見によって、清水家一行は出かけることになります。

     瀬戸村に到着するやいなや、斉道は一人で馬に乗って天狗がいると噂されている山の中に入っていきます。そんな自由過ぎる斉道を助次郎は懸命に追いかけるのですが、馬に乗り、全速力で飛ばしている斉道には流石に追いつけませんでした。斉道が山奥へと向かうと、そこで謎の人物に出会います。その人物と最初は刀とナタで戦うことになるのですが、しまいには取っ組み合いになり、最終的にその相手が女だと知ったことによって、斉道は、しばらく休戦します。斉道は宿舎に帰った後に、助次郎に対して「天狗らしい若い女に会った」と伝えると、それは助次郎の妹の遊(ゆう)だと教えられます。斉道と遊は瀬戸村に滞在している間に交流を深め、二人は次第に惹かれていくようになります。そして、斉道は遊に必ず迎えに来るからと言って、別れます。

     斉道は遊のおかげもあってか、人として暖かみのある人間になっていき、心底愛する女の人に巡りあうことが出来た喜びから、自然の中で生き生きと馬を走らせ、雨にうたれて大声で叫んでいたりします。しかし、一方で、遊は、身分の違いに関するあれこれが全く理解出来ず、里の人々が争っている理由もまったくわからず、何故、斉道と一緒になれないのか、なぜ、斉道が紀州へ行くことが決まってしまっているのか全く理解しようとしません。そんな二人を雷が落ちたと言われている雷桜(らいおう)という名の大木が、静かに見つめています。籠の中と外で別れ別れになってしまう彼と彼女はその後、どうなっていくのでしょうか?

    感想

     特にこの作品は原作が素晴らしいという事は言うまでも無いことなのですが、劇場版でも、大河ドラマのような長い年月を描いた時代劇作品でありながらも、叙情豊かな風景と人物描写を非常に丁寧におこなっているので、これまで時代劇作品をなんとなく、食わず嫌いしていて見ていなかった人も、タップリと泣ける良い映画だということでオススメできます。また、小難しい要素を比較的排除してあることもあってか、根っからの時代劇ファンにとっては若干物足らないような気もするものの、岡田将生が演じている若殿様が精神的に解放され自信を取り戻していく流れや、蒼井優が名演する天狗と呼ばれていた女の人が身分違いの恋に苦しみながらも次第に寄り添い合う様子が、たっぷりと描かれており、純粋な映画としては非常に良い物で、133分という上映時間は、意外に短く感じます。実際に、ロケハンなどにもこだわっているようで、どこか現実離れした世界観は一種のファンタジーとしても楽しめるような要素を呈しており、始めて時代劇を見る人への取っ掛かりとしてはベストな作品だと思えます。全体的に架空の人物や架空の設定でありながらも(時代的な前提知識が無くても楽しめるようにと考えられた配慮だと思われます)、一方で、実際に11代将軍徳川家斉の7男で清水徳川家から紀州藩主になったモデルがいるという設定がうまく、架空の時代劇でありながらも、非常に説得力があるもので、また、その元ネタとなった歴史的な事実を探ることで、二度美味しい作品であることは間違いないかと思われます。

    キャスト

    • 清水斉道(徳川家斉の十七男)-岡田将生
    • 雷/遊(瀬田村庄屋の娘)-蒼井優
    • 瀬田助次郎(遊の兄)-小出恵介
    • 榎戸角之進(清水家御用人)-柄本明
    • 田中理右衛門(遊の育ての親)-時任三郎
    • たえ(遊の母)-宮崎美子
    • 瀬田助太郎(瀬田村の庄屋、遊の兄)-和田聰宏
    • お初(助太郎の妻)-須藤理彩
    • 榊原秀之助(清水家家臣)-若葉竜也
    • 今泉鉄之助(清水家家臣)-忍成修吾
    • 鹿内六郎太(島中藩見回り役)-村上淳
    • 友蔵(瀬田村の百姓)-高良健吾
    • 茂次(瀬田村の百姓)-柄本佑
    • 高山仙之介(幕府大老)-大杉漣
    • 早坂門之助(幕府老中)-ベンガル
    • 田所文之進(岩本藩間者)-池畑慎之介
    • 徳川家斉(徳川十一代将軍)-坂東三津五郎(特別出演)

    スタッフ

    • 監督-廣木隆一
    • プロデューサー-平野隆
    • アソシエイトプロデューサー-幾野明子、石黒研三、八尾香澄
    • 共同プロデューサー-岡田有正、福島聡司
    • 原作-宇江佐真理『雷桜』(角川書店刊)
    • 脚本-田中幸子、加藤正人
    • 撮影-鍋島淳裕
    • 視覚効果-橋本満明
    • 美術-部谷京子
    • 編集-菊池純一
    • 音楽-大橋好規
    • 音楽プロデューサー-桑波田景信
    • 衣裳デザイン-黒澤和子
    • 照明-豊見山明長
    • 録音-深田晃
    • 助監督-宮城仙雅
    • スーパーバイジングプロデューサー-久保田修
    • kj
    • 沖縄県今帰仁村コーディネーター上間宏明
    • 製作委員会メンバー-TBS、電通、毎日放送、東宝、中部日本放送、IMJエンタテインメント、TCエンタテインメント、RKB毎日放送、WOWOW、TBSラジオ&コミュニケーションズ、朝日新聞社、日本出版販売、角川書店、Yahoo!JAPAN、北海道放送、東北放送、新潟放送、静岡放送、山陽放送、中国放送、エフエム東京
    • 制作プロダクション-IMJエンタテインメント
    • 配給-東宝

    原作も素晴らしい

     本作はかなり原作の宇江佐真理の書いた「雷桜」に助けられているところがあります。

     この雷桜という小説ですが、本当に情景が美しく、それこそおとぎ話のようなファンタジーのような時代劇物語です。実際にモチーフとした歴史的背景がありながらも、その殆どは架空の人物で湿られておりますが、舞台となるのは江戸から片道三日の所にある瀬田村に瀬田山。そして瀬田山を象徴する雷桜になっているなど、時代背景や舞台装置などはその時世に則しております。

     江戸という都会から少しだけ離れた山里の不思議な山という特殊な空間が、現実とは異なる舞台を提示しており、時代劇というにはあまりにも、ファンタジーめいた色合いの強い異色作となっている本作ですが、意識的に行っているのだとは思いますが、すべてが、おとぎ話の中で展開する物語のようで、これまでの時代物に対するイメージを根底から覆すような作品になっています。また美しく甘酸っぱい思い出の物語でもありながら、サスペンスの要素や、アクション要素もあり、それが物語にピリリとスパイスをきかせています。

     特に物語の後半非常に切なく、完全に感情移入していたとしたら涙無くしては見れないかと思われます。特に、竿語の榎戸角之進の言葉は非常に心を揺さぶられます。


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